RISK 失った歯を放置するリスク
何らかの原因で歯を失ってしまった場合、本来歯があった場所にはそれを補う必要があります。そのまま放置してしまうと、下記のようにさまざまな悪影響を及ぼすからです。
- 噛み合わせが悪くなる
- 顎関節症のリスクが高まる
- 顔の輪郭が変化する
- 虫歯や歯周病のリスクが高まる
- 見た目が悪くなる
- 十分に咀嚼できないことによる
胃腸の負担増加 - うまく発音できなくなる
- 脳への刺激減少により
認知症リスクが高まる
虫歯や歯周病により歯が欠損すると、以前のようにしっかり噛むことが難しくなるだけでなく、さまざまな体の不調を引き起こす可能性があります。残存歯が20本以下になると、認知症や転倒のリスクが増加すると言われています。そのため、できるだけ早く欠損した部分を補う必要があるのです。
インプラントについて
インプラント治療は1960年代から進化し続ける歯科治療の中で比較的新しい方法です。この治療では、顎の骨に直接人工歯根である「インプラント体」を埋め込み、その上に歯を再構築することで機能を回復します。骨を土台とするため、しっかり噛むことができ、他の歯に悪影響を与えないのがインプラントの大きな利点です。
歯が抜けたままになっていると、それが目立ってしまいます。インプラント治療は見た目の回復も目的としています。また、歯の欠損は残存歯に多くの負担をかけ、歯槽骨が痩せる原因となります。インプラントを入れることでこれらのリスクを回避することが重要です。
DIFFERENCE インプラント・入れ歯・
ブリッジの違い
失った歯を補填する治療法にはインプラントのほか、入れ歯やブリッジがあります。
近年は機能性・審美性ともに優れたインプラントが注目されていますが、入れ歯やブリッジも選択肢のひとつです。もちろん、どの治療法にも下記のようにそれぞれメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
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インプラント |
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入れ歯 |
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ブリッジ |
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インプラントは機能性・審美性に優れていますが、外科治療が必要で治療完了にまで時間がかかること、そして保険適用外となるため治療費が高額になりがちな点がデメリットです。一方、入れ歯やブリッジは保険適用となり、仮に適用外のカスタマイズをしてもインプラントよりは安いため、経済面では負担が軽いと言えるでしょう。しかし、審美性に劣り、インプラントよりも寿命が短いため定期的な作り直し・交換が必要です。
失った歯に対してどの治療を施すかは、メリットやデメリットを押さえた上で、予算や希望に合わせて最適な方法を選択することがポイントです。当院では、患者さまのお悩みやご希望に合わせて、最適な治療法をご提案いたします。
当院が使用している
インプラントメーカーについて
当院では京セラ製のインプラントを使用しております。1978年に日本初のインプラントとして提供を開始し、国産のインプラントのメーカーの中で最も歴史が長いため、その信頼性や安全性が保障されています。
なお、ご希望の際には他メーカーでも対応可能です。患者様のお口の中の状態に適したインプラントをご提案いたします。
骨の量が足りない場合の
治療について
インプラント治療を行うにあたって骨幅約6mm以上、高さ10mm以上の顎骨が必要です。
顎の骨が基準を満たしていない場合、インプラント治療を行う前に骨造成で足りない骨を補います。
ソケットリフト
ソケットリフトは、上顎の骨の高さを補う治療です。基本的には骨の高さが最低3mm以上ある場合に適用され、歯1つ分程度の比較的小さい範囲に治療を施します。
歯の生えていた箇所や抜歯した場合はその穴から移植骨を入れ、インプラントが埋め込める程度の厚さの骨を作り出します。状態によっては、同時にインプラントの埋入が可能です。サイナスリフト
サイナスリフトは、上顎骨が薄く、インプラントを埋入すると骨から突き抜けてしまう場合に行われる骨造成手術の一つです。骨の厚みが5mm未満であるか、または多くの骨が広範囲にわたって欠損している場合に適用されます。手術では歯ぐきをめくり上げて上顎洞を露出させ、そのスペースに人工骨を埋入します。移植した骨が安定した後にインプラント治療を行います。
GBR
GBR(骨再生誘導法)は、骨の厚みや高さが足りない場合に歯髄骨を再生する治療です。骨をつくりたい場所に骨補填材、または採取して粉砕した自家骨を入れて骨の再生を促します。ソケットリフトやサイナスリフトのように、移植により骨を物理的に増やすのではなく、新しい骨の再生を導く点が特徴です。
FLOW インプラント治療の流れ
インプラント治療は外科手術が必要です。人によっては治療期間が長期化するため、患者さまに治療内容を十分に理解いただいた上で計画的に進めていきます。下記は、インプラント治療の基本的な流れです。
カウンセリング・相談
インプラント治療に関するご不安やご質問、お口に関するお悩みをお聞きします。そのほか、治療の概要やメリット・デメリット、インプラント以外の治療法についてもご提案いたします。
検査・治療計画
術前検査と治療計画を進めます。検査では、歯周病検査や歯型の採取、CTスキャンを使用して顎骨の密度や高さなどを細かく分析します。
検査結果をふまえ、インプラント治療前の骨造成手術の有無や被せ物の材質・色などのご要望、今後のスケジュールや費用をふまえて、治療計画を作成します。一次手術
顎の骨造成が必要な場合は、インプラント治療の前に骨造成手術を行います。治療法によっては同日にインプラントの埋入まで実施できますが、中には骨造成から期間を置く場合もあります。
骨造成が不要、または同日にインプラント埋入までできる場合、歯肉を切開し、顎骨に穴を開けてインプラントを埋入します。その上に歯肉を被せて縫合し、骨とインプラントが結合するまで期間を置きます。二次手術
骨とインプラントが無事結合したら、歯肉を切開してインプラントを露出させます。そこに人工歯と接続させるためのアバットメントを装着します。その後、患者さまに合わせた人工歯を製作します。
人工歯の装着
人工歯が完成したら、二次手術で装着したアバットメントのキャップを取り外し、人工歯を装着して完了です。
人工歯はアバットメントに装着するだけとなるため、外科処置は行いません。装着した人工歯の噛み合わせを調整して終了です。
PERI-IMPLANTITIS インプラント周囲炎について
インプラント周囲炎とは、インプラントが歯周病と同じような状態になることです。歯周病菌が原因で、インプラント周辺組織が炎症を起こしています。インプラントで装着した歯は天然歯に比べて抵抗力が弱く、一度細菌に感染してしまうと完治が難しくなります。
インプラント周囲炎になる主な原因は、歯周病が治っていない状態でインプラント治療を行なってしまった、またはインプラント治療後のメインテナンス不足が考えられます。手術前は歯周病の検査も行い、しっかり治療してから施術します。また、正しいブラッシング法の指導や定期検査、クリーニングによって歯周病菌の低減を図ります。ご自身の歯と同じように、正しいケアを行えば長期にわたってインプラントを維持することができるでしょう。
INTRAVENOUS
SEDATION 静脈内鎮静法とは
インプラント治療は局所麻酔だけで行えますが、痛みを和らげても治療中の音や振動で不安や恐怖を引き起こす患者さまもいらっしゃいます。このような場合、静脈内鎮静法を導入することで、リラックスした状態で治療を受けることができます。この方法では中枢神経系の働きを程よく抑制し、意識を失わずに治療に臨むことができます。
静脈内鎮静法は麻酔科医の先生が対応し、手術中は常に血圧や心電図、酸素飽和度などの数値を確認します。麻酔から回復するまで時間を要する、追加費用がかかるなどの面もありますが、痛みや恐怖心を和らげ、リラックスした状態で手術が受けられるなど、メリットも多くあります。
サージカルガイド
サージカルガイドは、事前の治療計画に基づいて作成され、インプラント埋入時に使用するレジン製のガイドです。手術時に角度、深度、位置などの要素を予測通りに再現し、手術をサポートしながらエラーとリスクの低減を可能とします。
CTスキャンで得た歯のCT画像や3Dデータを元に、コンピューターでインプラント手術をシミュレーションします。インプラントのサイズや埋入位置・角度などを計画し、それらのデータをもとに3Dプリンターでサージカルガイドを製作します。手術時には完成したガイドを使用し、予め計画した通りに手術を進めます。これにより歯ぐきの切開範囲を最小限に抑え、口内の神経や血管の損傷、細菌感染のリスクを低減できます。サージカルガイドによって理想的な埋入が可能となり、手術後の痛みや腫れを抑え、患者さまの負担を軽くしながらも精度の高いインプラント治療が行えます。